さくら
さくら

「今、あなたがエネルギーを注ぎたいものは?」


さくら
さくら

私の身の周りには、とても優しい人たちがたくさんいます。…皆さん本当に心優しく、いつも周りに気を遣って生きていらっしゃいます。だからこそ、周りからも愛されているし、人気者で、頼りにされる存在なんですね。

ただ、最近、そんな優しい人たちが「疲れている」という事実に気づきました。

なぜ優しい人ほど疲れやすいのでしょうか?

それは、シャンパンタワーの1番上が満たされていないのに、2段目、3段目、4段目にエネルギーを注いでいる状態だからなんです。自分のコップが空っぽなのに、他の人のコップを満たそうとしている。だから体調も崩しやすくなってしまうんですね。

例えば、相談事をされたとき、親身になって相手のことを考える。それはとても素晴らしいことです。でも気がつくと、相手の課題を自分ごとにしてしまっている…実は私もそういう癖があります。

以前、魔法の質問のマツダミヒロさんに相談したことがあるんです。「コンサルで話を聞いていると、ついつい時間が長くなってしまう。相手の悩みを解決してあげようとして、いろいろ質問しながら話を聞いているうちに、『私がこの課題を解決してあげられるんだろうか』という不安に陥ることがある」と。

するとミヒロさんはこう言いました。

「相手の課題は相手のものだよ。さくらちゃんの課題じゃない。相手の話を聞いて質問を投げかけたら、後は『今夜のご飯何にしようかな』って考えてるくらいがちょうどいいよ」

一見冷たそうに感じるこのアドバイス。でも実は、ここにコーチングの極意が詰まっているんです。

答えは相手の中にある。

だから、相手の問題を私たちが解決しようなんて、おこがましいことなんですね。

優しい人は、困っている相手を助けようとして必死になります。そして自分が疲弊する。相手が喜んでくれるのは嬉しいけれど、自分のエネルギーを注いでいるわけですから、疲れるのは当然です。

そして、これは私の経験則なんですが、その場で解決しなかったことを後から思い出して「その後どうなった?」なんて聞いてみても、相談していた本人は覚えていない…なんてことも少なくありません。

課題は相手のものなんです。

では、困っている相手を目の前にしたとき、私たちはどうすればいいのでしょうか?

もちろん「目の前の人を喜ばせるために何ができるだろう?」という魔法の質問は有効です。でもそれは、今、その瞬間、目の前の人を喜ばせればオッケー。

困り事をなくしてあげるのではなく、困っている事実を共有してあげて、さらにご自身で乗り越えていく勇気を授ければいいんです。

それはすなわち、共感力以外何もいらないと私は思います。

「自分の話を聞いてくれる人がいる」 「わかってくれる人がいる」

この事実だけで、私たちは相手に勇気を授けることができます。そして勇気を持っていれば、困難な課題に立ち向かっていけるし、自分で解決することができるんです。

だから、他人の困り事なんて解決してあげなくていいんです